数年前まで、足を運んだコンサート、映画のチケットをスクラップしていました。
その手帳を最近見つけて、色々思い出しています。
ここ数年は年に2回、自分の好きなミュージシャンのライブに行くことを楽しみにしているのですが、今まで行った記録を絵とともに残したいと思っています。
音というのは一瞬で消え、生演奏のライブもその時だけのもの。録音録画色々聞けますが、肌で感じるその場の空気というのはライブでしか体験できません。私はそれが昔から大好きで、そのことを思い出してご飯が三杯食べれるくらいです(笑)
さて、ライブ鑑賞記、今回は‥
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João Gilberto ジョアン・ジルベルト
@ 国際フォーラム, Tokyo 2004
2003年72歳の時に初めて来日コンサートを開いたジョアン。その後2004、2006年と3回続けてコンサートを開いた中、私は真ん中の年に行った。
お客さんの拍手に40分感動して何も演奏しなかった、いや途中で寝てしまったなど、会場に足を運ぶ前にさまざまな噂を聞いていた。果たして今日はどんなハプニングが起こるのだろうか?と期待しつつ、ボサノバの神様を生で聞くのだから、興奮が止まなかった。
しばらく待ち現れたご本人! 「おぉ本物だ…」
私が初めてボサノバのCDを買ったのは20代前半の頃「Brasil」。Joao, Caetano veloso, Gilberto Gil, Maria Bethania
というすごいメンバーでたった6曲の演奏だけど宝石のようにキラキラする音が、ジャケットの写真のような大きなブラジルの波に現れて消えていくような、美しいけど悲しいようなアルバムだった。
それからAntonio Carlos JobimやBaden Powell、その次の世代のJoyceなどが好きで、ついに自分もボサノバギターを習うまでになってしまった、それはさておき…
しんと静まり返った大きな会場でギターを手に取りポツポツと歌い弾き始め、観客はじっと聴き入る。ジョアンのギターと歌は、なんだろう、思考を停止させてしまう。なんと言うかお経を聞いているような感じがする。お寺で瞑想をするときの感覚に近い。
暗い中にジョアンと対峙する自分。ささやく歌とギターのリズムの中にただ存在する。一種のトランス状態のようにも感じる。
止まない拍手にジルベルトが黙って待つ、あぁこれが噂の‥とクスッと笑ってしまった。いや地球の裏側から来て1人でずっと大人数相手に演奏して疲れているはずだから、眠っていただきたいくらいだ。我々観客もともにこの特別な空気の中、ウトウトしているではないか
こんな不思議なコンサートは後にも先にもないと思う。もう一度聞きたかった
♪JOÃO GILBERTO LIVE IN TOKYO (Blu-ray Official Trailer)
https://www.youtube.com/watch?v=rR5ovhUaIA4
最近、「ジョアンジルベルトを探して」と言う映画をレンタルで観た。
後年、ジョアンはパッタリと姿を見せなくなってしまったそうで、その足跡を辿った作家が本を残す。その内容を元に、シャーロックホームズ風ミステリーにかけた、面白いドキュメンタリー映画が作られたそうだ。↓はその映画を観ながら描いたスケッチ
関わりのあったミュージシャンなどのインタビューを交えた中に、ボサノバ誕生かと言われる場所が現れる。
ジョアンがずっとこもってギターを弾いていたトイレ(bathroom)だ。トイレ内の響きがよいからとも聞いていたけれど、実際に見たことはなかったので、感慨深く、またくすっと笑ってしまった。